心理カウンセラーの国家資格「公認心理師」とはどんな資格?難易度や受験資格を解説

心理カウンセラー 国家資格

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心理職のなかで唯一の国家資格が「公認心理師」です。この資格を取得するとどんなメリットがあり、どのような業務内容が与えられるのでしょうか。

気になる難易度や受験資格などの情報を、取得する前に知っておくべき注意点とあわせてわかりやすく解説していきます。

公認心理師とは

公認心理師とは、心理職において現時点で唯一の国家資格です。2017年9月に制定された公認心理師法に基づき、2018年9月9日に第1回公認心理師試験が実施され、2022年までに合計5回の試験が無事に行われています。令和4年度の合格者数は16,084人にのぼりました。

心理カウンセラーの国家資格が誕生した背景

心の問題は現代社会に深刻な闇を落としています。厚生労働省の統計によると、20~39歳までの死因順位の第1位は自殺です。自殺には至らなかったとしても、うつ状態に苦しんでいる人や、いじめ・ひきこもりなどで悩んでいる人は多く、これらの問題解決は国家的に見て急務の状況でした。

そこで誕生した資格が公認心理師です。公認心理師は、心理的な問題を抱えた相談者のカウンセリングを行い、助言や指導を通じて問題を解消へと導きます。カウンセラーのレベルを底上げし、諸問題を解決させる確率を高めるために、公認心理師が誕生したものと考えられます。

公認心理師と臨床心理士との違いは?

はてなを二つ持つ女性

公認心理師が誕生する前から存在し、心理職においてもっともメジャーな民間資格として知られていたのが「臨床心理士」です。この2つは今後も共存することになりますが、どのような違いがあるのかを5つの項目で比較してみましょう。

【公認心理師と臨床心理士の比較表】

項目公認心理師臨床心理士
資格の種類国家資格民間資格
医師との関係性医師の指示を受けられる医師と連携し、協力する
更新の有無なし5年ごとに必要
取得条件指定学部卒業と大学院修了指定大学院の修了
業務内容ほぼ変わらないほぼ変わらない

業務内容はいずれもほぼ変わりません。大きな違いとしては、医師との関係性や更新の有無、そして資格取得に向けた条件です。公認心理師は、相談者に主治医がついている場合に限ってその主治医からの指示を受けて活動できるため、より主体的なサポートが可能になります。

公認心理師の受験資格

資格講座の授業

公認心理士の受験資格は次のように定められています。

【公認心理士の受験資格】

区分 条件① 条件②
A 大学院で指定の10科目(※1)を履修 4年制大学で指定の25科目(※2)を履修
B 特定の施設(※3)で2年以上の実務経験 4年制大学で指定の25科目を履修
C 相応の知識および技能を有すると認定された者
D1 平成29年9月15日より前に大学院で指定の6科目を履修
D2 平成29年9月15日より前に大学院に入学し、それ以降に指定の6科目を履修
E 平成29年9月15日以後に大学院で指定の10科目を履修 平成29年9月15日より前に4年制大学で指定の12科目(※4)を履修
F 特定の施設で2年以上の実務経験 平成29年9月15日より前に4年制大学で指定の12科目を履修

※1 施行規則第2条による
※2 施行規則第1条の2による
※3 施行規則第5条による
※4 施行規則第3条による

条件①と条件②の両方がある区分の場合、この両方を満たさなければなりません。心理職における民間資格のなかには、受験資格がないものや、簡単に受験資格を獲得できるものもありますが、公認心理士は国家資格であるだけに受験に向けて高いハードルが用意されています。

公認心理師は独学で取得できる?

結論として、公認心理師を独学で取得することは不可能です。先述した受験資格のうち区分Cは特例的なものであり、基本的には大学院もしくは大学において指定科目の履修していなければ、受験資格を満たすことができません。そのため、資格試験に向けた対策を行うだけでは公認心理師になれないのです。

公認心理師の難易度

レベル1、レベル2、レベル3

公認心理師になるためには、まず先述した受験資格を満たす必要があります。大学や大学院で専門的な知識を会得してから資格試験に臨むことになりますが、過去5回行われた公認心理師国家試験の合格率は次のとおりです。

【年度別に見た公認心理師国家試験の合格率】

年度2018年2019年2020年2021年2022年
合格率79.6%46.4%53,4%58.6%48.3%

初回の試験では約80%と高い合格率が出ていますが、2年目以降の合格率は40~50%台を推移しています。合格率だけでは一概に難易度を判断することができませんが、国家資格全体で見れば易しく、心理職の関連資格として見ればやや難しい試験と言えるでしょう。

公認心理師の業務内容

公認心理師の業務内容は次のように定められています。

<公認心理師の業務内容>

  1. 心の問題を抱えている人の心理状態を観察し、その結果を分析する
  2. 心の問題を抱えている人の相談に応じ、助言や指導、援助を行う
  3. 心の問題を抱えている人の関係者の相談に応じ、助言や指導、援助を行う
  4. 心の健康に関する知識の普及を図るための教育や情報を提供、発信する

これだけではどういった業務内容なのかわかりにくいかもしれません。ポイントごとに噛み砕いて解説していくので、順番にチェックしていきましょう。

①心の問題を抱えている人の心理状態を観察し、その結果を分析する

カウンセリング結果の分析を見ながらカウンセリングする様子

心理査定(心理的アセスメント)に関する業務です。心理査定では、相談者の面接や行動観察、あるいは心理テストを実施します。この結果に基づき、相談者の現状や相談者が抱えている課題を分析して、今後の支援に向けた効果的な対策を練るフェーズです。

たとえば相談者が職場に関する悩みを抱えている場合は、その人にとって何がストレスやプレッシャーの原因となっているのかを対話や心理テストのなかから導き出します。上司や部下とのコミュニケーションに問題を抱えているのか、それとも仕事内容自体が合っていないのかなど、あらゆる方法で分析するのです。

②心の問題を抱えている人の相談に応じ、助言や指導、援助を行う

心理的支援に関する業務です。相談者の分析結果に基づき、さまざまな心理療法のなかから最適な解決策を見つけて、助言や指導・援助を行います。あくまでもカウンセラーとして対応するため、解決策を与えるのではなく、相談者自身が自己治癒できるよう寄り添うのが基本です。

中心的な心理療法には「クライエント中心療法」があります。相談者からの話を傾聴する療法で、相談者の自己肯定感や自信の向上に期待できる内容です。相談者の性格や年齢、悩みの種類などに応じて、最適な心理療法を選ぶ能力が公認心理師に求められています。

③心の問題を抱えている人の関係者の相談に応じ、助言や指導、援助を行う

心理的な問題を抱えている人物の関係者に対して面接を行い、助言・指導・援助業務です。「コンサルテーション」とも呼ばれています。また、すでに発生しているトラブルを解決に導くだけでなく、心理的問題の発生を予防するためにコンサルテーションを実施することもあります。

たとえば精神疾患を抱えた部下を持つ上司は、その部下に対してどのように接するべきかわからずに悩むことがあるでしょう。こういったケースで悩む上司との面接を行い、部下との接し方について助言・指導をするなどの業務がこれにあたります。

④心の健康に関する知識の普及を図るための教育や情報を提供、発信する

公衆衛生、健康教育に関する業務です。予防的に行うものであり、精神疾患に関する正しい情報を共有することで心の病気を未然に防ぎます。現在も「精神疾患は気持ちの問題」と誤った認識を持ち続ける人は多く、これを正すために専門的な知識を生かして啓発することが業務の主な目的です。

その他にも、心理に関連したあらゆる教育を行うことがあります。たとえば怒りの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」もその一環です。また、ストレスとの付き合い方や他者とのコミュニケーションの取り方などのアドバイスを行うことで、精神疾患を防ぐ役割を果たします。

公認心理師が活躍できる職場

公認心理師が活躍している職場

公認心理師が活躍できる職場のジャンルはとても多く、主に以下5つの分野にわかれます。

<公認心理師が活躍できる職場>

  • 保健医療
  • 教育
  • 福祉
  • 産業
  • 司法

具体的な職場と仕事内容を分野ごとに解説していきます。

保健医療

病院やクリニックの心療内科や精神科で働きます。原則として医師の資格を持たないため、病院に勤務しても直接的な薬の処方などはできません。医師の指示を受けて面接や心理療法を行い、チームの一員として問題解決を目指します。

保健機関の場合は保健所や精神保健福祉センターといった公的機関に勤めることが一般的です。この場合は公務員として採用されることになり、相談される内容はアルコール依存からひきこもりまで多岐にわたります。

教育

幼稚園や小中学校、高等学校、教育センターなどで働きます。「スクールカウンセラー」と呼ばれることもある仕事です。思春期の児童に接するため、センシティブな相談内容が多くなります。いじめ問題や親子関係、自傷行為、障がいの疑いといったものが一例です。

福祉

高齢者向け施設や障がい者向け施設、児童相談所などに勤務します。心身の問題を抱えて社会的弱者になった人と接する機会が多く、やりがいを感じやすい働き方のひとつと言えるでしょう。

産業

一般企業に勤め、在籍する会社員・公務員やその家族のメンタルヘルスを支援する仕事です。全社員に向けたストレスチェックの実施から、精神疾患などを理由に休職した職員の復帰支援、パワハラ・セクハラ問題への相談など、会社内で起こるさまざまな問題に対処します。

司法

少年院や刑務所、家庭裁判所、保護観察所などに勤務します。主な仕事内容は、犯罪などにより入所した人物のカウンセリングにあたり、更生を促すことです。

公認心理師の資格を取得するメリット

メリットのブロック

公認心理師の資格を取得する主なメリットは以下の3点です。

<公認心理師の資格を取得するメリット>

  1. 心理職の唯一の国家資格である
  2. 困難だがやりがいのある仕事ができる
  3. 今後も活躍の場が増えていくと予想される

公認心理師として働く魅力や醍醐味をチェックしていきましょう。

①心理職の唯一の国家資格である

公認心理師は、心理職において唯一の国家資格です。その他の民間資格が悪いわけではありませんが、国家資格というだけで権威性が生まれます。臨床心理士との比較でもご紹介したとおり、医師との関係性などにも違いが生まれますから、心理カウンセラーとしての高みを目指すならば取得したい資格でしょう。

②困難だがやりがいのある仕事ができる

公認心理師はさまざまな悩みを抱えた相談者と向き合い、自分自身がかける言葉や選択した心理療法が相談者の人生を左右することもある困難な仕事です。しかし、それだけにやりがいを感じやすく、他者から感謝されやすい仕事ができることもメリットと言えます。

たとえば医療分野では、精神疾患を抱えて通院する人の支援を行えますし、教育分野では思春期の子どもが横道へ逸れないように導くこともできます。障がいを抱えていたり、いじめやパワハラなどの被害を受けている人の支えになれたりもしますし、罪を犯した人を更生させられる可能性も秘めた重要な仕事です。

③今後も活躍の場が増えていくと予想される

公認心理師はまだ始まったばかりの資格ですが、裏を返せば将来性があるとも言えます。現段階で取得することで、将来的に難度が上がったり、社会的な需要が増したりしたときにも、就職・転職活動を有利に進められるでしょう。

公認心理師の資格を取得する前に知っておきたい注意点

注意点に気を付けながら勉強する女性

公認心理師の資格を取得する前に知っておきたい注意点を3つご紹介します。

<公認心理師の資格を取得する前に知っておきたい注意点>

  1. 給与は一概に高いとは言えない
  2. 誰もが活躍できる仕事ではない
  3. 一から取得するには大学で必要科目を履修する必要がある

先述したように、民間資格の質が極端に落ちることはありません。心理職の民間資格の種類はとても多いため、公認心理師のメリット・注意点を細かく把握したうえで、自分にとってどの資格がもっとも合っているのかを検討しましょう。

①給与は一概に高いとは言えない

公認心理師の勤務先はとても多く、民間企業に勤めることもあれば、公的機関で公務員として働くこともあります。そのため給与が多いか少ないかは一概に言えませんが、平均的に見ると決して報酬が高いわけではないようです。

求人情報の相場から見ると、正社員として働く公認心理師の年収は330~430万円が相場です。人によってはパートやアルバイトなどの非正規雇用で働く場合もあり、給与・待遇ありきで選ぶべき資格とは言えません。

②誰もが活躍できる仕事ではない

公認心理師の仕事には向き・不向きがあります。性格的に向いていない人もおり、こういった人が公認心理師になった場合、仕事にストレスを抱えてしまうかもしれません。具体的に、以下に該当する人は公認心理師としての適性に疑問が残ります。

<公認心理師に向いていない人の特徴>

  • 他者の話を聞くのが苦手な人
  • 自分の意見を押し付けることが多い人
  • 他者に対してあまり興味を持てない人
  • 口が軽く、他者の秘密をペラペラ話してしまう人
  • コミュニケーションを取るのが苦手な人

公認心理師は他者の話を根気強く聞き、じっくりと信頼関係を築ける人ほど向いています。上記のいずれかに強く該当する項目がある場合は、残念ながら公認心理師や心理カウンセラーの適性があるとは言えません。

③一から取得するには大学で必要科目を履修する必要がある

公認心理師には受験資格があり、一から取得するには大学で必要科目を履修する必要があります。そのため、社会人が今から資格取得を目指すのは困難です。心理カウンセラーとしての仕事を望んでいる場合は、まずは民間資格を取得して実績を重ね、公認心理師の資格取得を将来の目標に回すとよいでしょう。

まとめ

公認心理師は、心理職における唯一の国家資格です。仕事内容は難解ですが、やりがいのある仕事ができることが公認心理師の魅力でしょう。ただし、受験資格が厳しいため、社会人が一から資格を取得するのは困難です。心理カウンセラーとして働きたい場合は、まず民間資格の取得を目標にすることをおすすめします。

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